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マイナス金利政策発動以降、住宅ローン金利は大きく低下してきたわけですが、気になるのはそれで住宅ローンがどれくらい増えたのか、という点ですね。そうした新規の住宅ローンの需要を占う上で参考になりそうな2つのデータが発表されています。
どちらも3か月に1度発表される日銀の「主要銀行貸出動向アンケート調査」と住宅金融支援機構の「フラット35の申請結果」ですね。この2つを組み合わせれば足元の住宅ローン需要が見えてきます。
記者の感覚から言えば7月に長期金利が過去最低水準に達したことや、9月末が期末だったこともあってこの3ヶ月で住宅ローン需要は大いに盛り上がったように感じています。お蔭様で当サイトのトラフィックも高水準で推移しました。
一方、10月になってからは、期末が終わったことや、住宅ローン金利も市場金利も以前に比べればやや上昇していることもあってか、住宅ローン需要はややスローダウンしているように感じています。
そのような動きが現れているでしょうか?と言うわけで前回から3ヶ月経っての住宅ローンの貸出動向を早速チェックしていきたいと思います。
ちなみに前回の記事はこちらです。
>>>マイナス金利で住宅ローンは増えた?2016年第2四半期の銀行貸出動向とフラット35実績
まず前者の日銀の「主要銀行貸出動向アンケート調査」ですが、調査期間が2016年9月9日〜10月13日となっており、2016年第3四半期=7月〜9月がおおむねカバーされております。
では気になる個人の資金需要=ローン需要を見てみるとこのようになっています。
「個人向け」の欄を見てみると指数は前回7月の「14」から「10」へ意外と低下していますね・・・。
ただ一方でその内訳をみると「減少」と答えた金融機関は1つのみであり、80%の金融機関は「横ばい」、そして18%の金融機関が「増加」と回答しているわけですから、全体としては前期より増加したのは間違いなさそうです。
だとすれば、やはり2016年第3四半期=7月〜9月の住宅ローン需要は相応に伸びたということですね。消費税増税延期などの材料よりも、やはり「住宅ローン金利低下」のインパクトが大きかった、ということなのでしょう。
次にその個人の資金需要を「住宅ローン」と「消費者ローン」に分けてみるとこうなります。
こうして分けてみると、住宅ローンの需要の強さがより浮彫になりますね!住宅ローンの需要は前回の「13」から「12」ということでやや勢いに陰りが出てはいるものの、その内訳をみると「横ばい」が80%、「増加」が20%ということで、「減少」と回答した金融機関は1つもないことが分かります。
そうしたわけで繰り返しになりますが、7月〜9月の住宅ローン市場は「前の四半期以上に盛り上がった」ということですね。記者も含めこうした展開を予想していた人は少ないのではないでしょうか。
ただ一方で10月以降はスローダウンしているとすれば、そうした懸念が調査結果に現れてきてもおかしくないわけですが、気になる今後の資金需要の見通しとしてはこのようになっているようです。
当然下がっているかと思いきや・・・個人向けの資金需要は前回の「3」から「4」へむしろ上昇していますね!
その内訳をみると「横ばい」が94%、「増加」が6%ということで全体的にも増加する予想、ということになります・・・強気ですね。
季節的には確かに次の期末の3月に向けて住宅需要が増加していくわけですし、12月には冬のボーナスもあります。とすると住宅ローン需要が相応に刺激されると考えるのは普通なのかもしれませんが、他方で新しい金融緩和の枠組みの元では長期金利も住宅ローン金利も当面は安定して推移していくものと思います。
つまりこれまでのような「劇的な金利低下」が収まるとすれば・・・住宅ローン需要も落ち着きそうなものですが果たしてどうなるでしょうか?
記者の読みが正しいのか、金融機関の経験が正しいのか、3ヶ月後には分かることになります。もちろん、記者も住宅ローン需要が低迷することを願っているわけではありませんが・・・。
なお、これまでのこの金融機関の見通しが当たっていたかと言えば直近の数値ではこのようになっています。
・2016年:1−3月期 : 事前見通し/4 → 実際/ 9
・2016年:4−6月期 : 事前見通し/5 → 実際/14
・2016年:7−9月期 : 事前見通し/3 → 実際/10
・2016年:10−12月期 : 事前見通し/4 → 実際/ ?
あくまで過去3回分をチェックしただけですが、今のところそれなりに相関していそうです。だとすると今回の増加予測もそれなりに説得力があるということなのでしょう。
なお銀行の貸し出しスタンスはどのように変化し、今後どのように変化するかと言えばこういう回答結果になっております。
<過去3ヶ月>
<今後3ヶ月>
個人向けを見てみると、過去3ヶ月が「15→13」、今後3ヶ月が「14→11」ということでいずれも指数が下落している点が気になりますが、ただ「個人向け貸出を慎重化させる」と答えている金融機関は全くなく、実態としては「限界近くまで積極的になっている」ということなのかもしれませんね。
期待を込めてそう理解しておきたいと思います。
では最後にフラット35の申請・貸出実績をチェックしてみたいと思います。
まず前回、2016年4−6月期の申請・実績戸数は前年同期と比較するとこのようになっています。
・フラット35申請戸数 : 34,275戸→37,504戸
・フラット35実績戸数 : 18,957戸→29,635戸
次に今回の2016年7−9月期はこうですね。
・フラット35申請戸数 : 28,482戸→39,744戸
・フラット35実績戸数 : 20,690戸→32,997戸
確かにこちらの数字も、前年「2015年7−9月期」と比較しても前回「2016年4−6月期」と比較しても大きく伸びています。
特に目を見張るのが「実績戸数」の大幅な増加ですね!歴史的な低金利の中で、フラット35自体の人気も拡大していそうです。
そうしたわけでやはり、この7−9月期に住宅ローン需要が大きく伸びたのは間違いない、ということですね。
ただ仮に記者が感じているように10月以降、住宅ローン人気がスローダウンしていたとしても、見方を変えれば「住宅ローンの審査を通しておく良いチャンス」と言えそうです。
一度審査を通しておけば実際に借りるまでに数ヶ月待ってくれる、という話も聞きますし、人気銀行については「審査が遅い!」という口コミを良く見かけますので尚更です。
数ヶ月以内に住宅ローンの借り入れや借り換えを検討されている方は早め早めに動いてみてはいかがでしょうか。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>