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<編集部からのコメント>
2016年の1月が早くも中旬に差し掛かろうとしていますね。みなさんは新年を幸先よくスタートできましたでしょうか?
ちなみに申年の相場格言は「騒がし」とのことですが、まさにその言葉通りのスタートとなっております。
まず「騒がし」で連想されるのは・・・芸能ニュースの方でしょうね。「卒論」騒動があったと思ったら今度は「解散」騒動です。特に後者は全国紙が一面や社会面で取り上げるほどのインパクトがありました。一応の終息を見たようではありますが、徐々に悪者にされつつある女性マネージャー氏にサラリーマンとしての悲哀を感じるのは記者だけではないと思います。
池井戸作品であれば、ここからの一発逆転が用意されているわけですが、現実社会ではどうでしょうか。いずれにしても閉鎖的な芸能界の体質そのものへの批判が広がらない点には違和感を感じます。
それはともかくとして、しかし国民生活という観点からもっと心配しないといけない「騒がし」が世界的な株式市場の混乱ですね。もう世界中の株価が下落しているわけですから深刻です。日本の株価も今年に入ってまだ1日しか上昇していないようです。
今や年金も株式で運用されている時代ですから、われわれ庶民にも直接的な影響がありますし、株価が下がっているということはそれだけ今後の景気動向に対して悲観的な見方が広がっているということでしょうから、無関心ではいられません。こちらも早く終息してほしいものです。
ただこと住宅ローン利用者という観点から考えればこうした株価下落はデメリットばかりではありません。と言うのも株価と金利は基本的には連動しておりますので、株価が下がると金利も下がるからですね。
実際、上記の長期金利のグラフを見ても分かるように年明けから金利低下ペースが一気に加速しています。一時期は0.190%まで下がり、1年前に実現した過去最低値=0.195%をあっさり更新したのですね!
株価下落を喜ぶことはできませんが、その副産物としての金利低下の恩恵に預かれるという点では幸運と言えそうです。
具体的に本日1月19日現在の長期金利をチェックしてみると0.210%ということで、1ヶ月前は0.295%でしたから、やはり大幅に低下しているということですね。1月の住宅ローン金利はすでに大きく低下しているわけですが、今後の更なる金利低下に期待できる状況と言えそうです。
ここで世界の金利をチェックしておくと、まずドイツの金利はこのようになっています。これまで「歴史的」と言っていいくらい見事な右肩下がりで下がってきたドイツ金利ですが、なぜか昨年4月にドンと上昇しました。
こうした動きが昨年前半の日本の長期金利上昇の引き金になったのではないかと思いますが、 ただその後は日本と同じく徐々に低下してきているように見えます。
そして世界経済の中心であるアメリカの長期金利はこのように推移しています。
これまで日本の金利と驚くほど同じ動きをしてきたアメリカの長期金利ですが、足元では徐々に日本の金利と乖離してきました。これはアメリカで昨年12月に政策金利引き上げ=利上げが実施されたためですね。
リーマンショック以降、世界の中央銀行はこれまで例を見ない規模での金融緩和を行い、金融市場にマネーを投下し、金融危機からの回復に心血を注いできたわけですが、そうした異常な金融政策をいつまでも続けることはできませんので、経済が正常化すれば金融緩和策を終了させるのは当然です。
そのトップランナーとして、アメリカは自国の好調な雇用・経済を背景についに金融緩和から金融引き締めに転じたということです。利上げは実に10年ぶりということですから、リーマンショックの傷の深さがうかがえます。
それはともかくとして利上げ=当然、金利の引き上げですからアメリカの長期金利も上昇してしかるべきですが、では上昇しているかと言うと・・・実際にはほとんど全く上昇していません。足元ではむしろ低下しているくらいです。
今のところこうしたアメリカの利上げの動きに日本の長期金利が反応していないのだとすれば、住宅ローン金利にはこれまたポジティブな状況と言えそうです。
なお、日本の金利は中長期的に見ても上昇する機運は全くありません。2%のインフレ目標達成に向けて死にもの狂いの日銀が、虎視眈々と次の追加金融緩和策を発表するタイミングを狙っているわけですからね。金融緩和が拡大されれば金利がさらに低下するのは確実です。
いずれにしても日本の金利は、日銀の金融緩和が睨みをきかせている間は大きく上昇することはありえません。つまりもうしばらく住宅ローン金利に追い風が吹き続ける可能性が高く、住宅ローンをこれから借りようとされている方や、今後借り換えをしようとされている方は、多少の金利変動に戸惑うことなく、着実に検討を進めていただければと思います。
気になるのはこの「異次元の低金利」がいつまで、どれくらい続くのか、という点ですが、少なくとも金融緩和は次の消費税増税のタイミングである2017年4月までは続く可能性が高く、だとすれば金利もそれまでは本格的に上昇することはなさそうです。
「プライマリーバランス黒字化」や「GDP600兆円達成」に向けて、それぞれの目標時期である2020年まで続くという読みも最近よく目にするようになってきました。参考にしてみてください。
ちなみに2000年からの長期金利の推移を振り返るとこのようになっています。
春以降、多少上昇したと言っても今の長期金利は「歴史的な低水準」にあることがよくわかります。これまで最も低い時期でも0.5%前後だったわけですから、今は「最低水準」ということですね。ぜひこのチャンスを生かして、毎月の住宅ローン返済額を大いに削減していただければと思います。
一方で。
あえて注意点を挙げるとすれば、前回の景気回復局面である2003年〜2006年ごろの金利推移を見てみると、2003年には長期金利が0.5%前後という当時の過去最低水準まで下がったのち、その後1.5%近くまで跳ね上がっていることが分かります。
たかが1.5%ではあるのですが、されど1.5%と言えます。今の長期金利の金利水準からすれば5倍ですし、仮にそうなれば住宅ローン金利も当然、相応に上昇することになります。
2003年当時、世界経済の見通しが大きく好転したことや、小泉政権への期待、りそな銀行への公的資金注入により金融不安が大幅に後退したことに加え、「VaR」と呼ばれるリスク管理手法に起因する「VaRショック」と名づけられた「国債の投げ売り」が金利上昇を加速させたと言われてますが、そもそも金利のバイオリズムとして、「好景気の前が最も金利が低い」のだとすると、長期的に見れば、これから金利が上昇する可能性というのはゼロではありません。
繰り返しになりますがこれは「長期的に見れば」ということであり、上記の通りさらなる金融緩和が予想され、消費税増税が2017年4月に控える現状では金利が極めて上がりにくいこと自体は変わりません。
しかしそれでも今の歴史的な低水準からすれば、「これから更に下がるとしても限定的」という点でいつかは上昇する運命にあります。それが「かなり先」だとしてもです。
焦る必要は全くありませんが、そうした点からも今が住宅ローンの借り入れ・借り換えの絶好の機会であることは間違いありません。多少の金利変動に左右されることなく、ぜひこの低金利を上手に活用してもらいたいと思います。
さてすでに結論が出てしまっている気もしますが、2016年2月の住宅ローン金利を占う上で、いつものように早めに来月の金利を発表しているソニー銀行の住宅ローン金利はこのようになっています。
◆ソニー銀行住宅ローン金利
・変動金利 : 0.889% → 0.889% (変わらず)
・10年固定 : 1.117% → 1.115% (−0.002%低下)
・20年固定 : 1.760% → 1.714% (−0.046%低下)
・30年固定 : 1.919% → 1.864% (−0.055%低下)
長期金利は1ヶ月で約0.085%低下しているわけですが、それと比較すれば割と「控えめ」な金利引き下げ幅ですね。すでに十分引き下げているから、ということなのかもしれません。
次に今月の国債の平均金利と、先月のこの時期の国債の平均金利の差をチェックするとこのようになります。
◆1月19日現在の今月の国債の平均金利と、先月中旬までの国債の平均金利
・1年 : −0.03% → −0.05% (−0.03%低下)
・10年 : 0.31% → 0.23% (−0.08%低下)
・20年 : 1.07% → 0.95% (−0.12%低下)
・30年 : 1.38% → 1.24% (−0.14%低下)
やはり順当に低下しています。20年もの金利はついに1%をも下回ってきましたね。
そうしたわけで、2月の住宅ローン金利は「全体的に0.05%〜0.10%程度引き下げとなる可能性が高い」としておきたいと思います。
ただ冒頭ご案内したようにすでにこの1月に住宅ローン金利は戦略的にかなり引き下げられましたので、上記ソニー銀行も同じかもしれませんが「期待したほどは下がらない」可能性も結構ありそうです。そうした場合も「すでに先行して大きく引き下げられていたから」と前向きに解釈いただければと思います。
最後に住宅ローン「変動」金利について。
人気の住宅ローン金利タイプと言えば変動金利ですが、この変動金利タイプのベースとなるのは長期金利ではなく「短期金利」です。
そしてこの短期金利については日銀の「ゼロ金利政策」によって一足早く金利ゼロに到達したことに加え、日銀が完全にコントロールしているために上がることも下がることもなくずっと「超・低金利」を維持しているのですね。
1月19日現在の代表的な短期金利である「無担保コール翌日物」金利は「0.074%」と文字通りケタ違いの低金利=ゼロ金利となっています。1ヶ月前の金利は「0.068%」でしたから、引き続き低水準を維持しているということですね。
日銀のこうしたゼロ金利政=短期金利の引き下げ政策は、日銀自身が明言しているように十分なインフレ状態となるまで続けられますし、繰り返しになりますが、少なくとも次回の増税のタイミングである2017年4月まで継続されるのはほぼ間違いないと思います。
そしてそのように短期金利はまだまだ低金利が続くとすれば、それはつまり、住宅ローン変動金利タイプもまだまだ低金利が続くことを意味します。
そもそも少子高齢化が進む日本では、円安や増税などの一時的な要因を除けば、「十分なインフレなど永遠に起こらない」かもしれませんしね。
住宅ローン金利が上昇した、低下した、と言ってもそれはあくまで10年固定や20年固定といった「固定金利タイプ」の話であり、「変動金利タイプ」は基本的にはゼロ金利政策が復活した2008年12月以降の7年間全く上昇していません。
住宅ローンの変動金利タイプをご検討の方は、長期金利の変動に一喜一憂する必要は全くない、ということですね。こちらも参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。