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<解説・異論・反論>
地域にもよるのでしょうけれど住宅価格が上昇していますね。先日もたまたま不動産屋の前を通りかかったので物件価格を眺めていたのですが、以前の値段を知っている物件が驚くくらい上昇しておりました。
特に関東は東日本大震災の後で値段が大きく下がった物件もありましたので尚更ですね。あの頃の値段を覚えている記者からすれば正直、「あの時買っておけばよかったな」と思わないでもありません。これこそ狸のナントカですが・・・。
ただそのように素人の記者でもはっかり分かる住宅価格の上昇傾向を前に住宅購入を検討されている消費者の対応は2つに分かれるものと思います。言わずもがなですが、買うか買わないか、つまり「これ以上上昇する前に買う」か、「高すぎるので下がってから買う」か、ということですね。そのカギとなるのは今後の不動産価格の見通し、ということになります。
バブル崩壊後の不動産価格の推移を思い浮かべれば基本的には下がってきていますし、時折上昇する局面はあったものの、その後の景気後退局面でやっぱり下がっています。
さらに2年後の2017年には消費税の再増税が予定されており、その後で駆け込み需要の反動が来るのであれば、今後不動産価格が下がる局面が来ると考えるのは自然なことですね。
一方でシンボリックなマイルストーンとして2020年の東京オリンピックがあります。何となく2020年までは景気も不動産も好調を維持するような気がしている方は多いと思います。
加えて駆け込み需要の反動にしても、少なくともこの1年間は需要が減退しても不動産価格が下がることはありませんでした。そのように考えると今の価格上昇は2017年の再増税を乗り越え、もう少し続くと予想してもこれまたおかしくありません。
住宅購入は投資というよりライフステージ上の要請といった実需に基づくものがほとんどですから、「さすがに2020年までは待てない」と思うとやはり「早めに購入しておこう」と考える方が優勢となりそうです。実際、4月の首都圏のマンションの契約率は75.5%ということで、好不調の境目が70%ということになっていますから、好調だということですね。
では具体的に消費者の住宅の買い時感はどうなっているかと言うと、住宅金融支援機構の調査ではこのようになっています。
「今後1年間は住宅取得のチャンス」と答えた方が46.3%ということで、直近のボトムである2014年2月調査の34.0%から確実に上昇してきていることが分かります。
一方、「住宅取得のチャンスではない」と答えた方は15.5%と低水準にとどまり、前回調査からもわずかに低下しています。つまりは住宅に対する買い時感はトータルで見ると徐々に高まっているということですね。
ちなみにその理由のベスト3は以下の通りです。
・住宅ローン金利が低い : 74.3%
・増税前だから : 44.5%
・税制メリットが大きい : 31.1%
特に上昇しているのが2つ目の「増税前だから」という回答であり、要するに2017年に向けて徐々に駆け込み需要が始まっているということですね!注目です。
ただし。
こうした調査には少し難点がありまして、何かと言うとこれらはあくまで住宅購入を検討されている方を対象にしている、ということですね。「今、絶対住宅を買うべきではない」と思う方はまず含まれないのであって、そうした点では「買い時だ」という意見が強く反映される構造にあります。
とすると世の中全体の買い時感を探るためには、住宅購入を検討されていない方も調査の母集団に加える必要があるわけですが、幸いなことにリクルートがそうしたより一般的な調査を実施していますね。3ヶ月に1回実施している「住まいの買いどき感調査」がそれですが、最新の結果はと言うとこのようになっています。
前回調査は2014年12月で、それまでは全体的に16%前後をウロウロしていたわけですが、この3月の調査では18.0%となり、明らかに回復してきていることが分かります。増税から1年経って消費が全般的に回復してきていますが、住宅に関しても同様に「増税ショックを忘れるまでに1年かかる」ということなのかもしれませんね。
なお、この調査では首都圏のみならず、関西、東海、札幌、仙台、広島、福岡もカバーされていますが、どの都市でもこの3月の結果は前回調査より明らかに改善されていて興味深いですね。
不動産価格の状況については地域によって多少のばらつきがあるとは思いますが、それにはあまり影響を受けないということのようです。
ちなみに興味深いのは「買い時」だと思うその理由で、上位の理由はこのように推移しています。
こちらは上記住宅金融支援機構の調査と大きく異なりますね!「増税前」という理由はそれほど回復していない一方で、景況感の改善を理由に挙げている方が比較的増加していることが分かります。
また、住宅金融支援機構の調査で不動の1位である「住宅ローン金利が低い」という理由は全く現れていません。あえて言えば「お金が借りやすいから」に含まれるのかもしれませんが、厳密に言えば、住宅ローン金利が低いこととお金が借りやすいことは別のことですからね。いくら金利が低くても審査が厳しければ借りられません。
その点では設問に多少の問題があるのかもしれませんが、それはともかくとしてこれらの調査から浮かび上がってくる共通のことは消費者の住宅に対する「買い時感」の回復ですね。
もしこのまま順調に買い時感が高まっていくのであれば少なくとも2017年3月までは住宅市場は再度盛り上がるのかもしれません。
住宅市場が盛り上がったとしても住宅購入者に直接的なメリットがあるわけではなく、かえってデメリットの方が大きいような気もしないでもないですが、これからマイホーム購入を検討されている方は、今後の「過熱」を想定に入れながら、ベストな購入のタイミングを検討していただければと思います。
参考になさってください。