※当サイトには広告リンクが含まれています。
<編集部からのコメント>
マイホームを考え始めたときに、まず最初に準備すべきことと言えば貯金ですね。要するに頭金を貯めることです。
頭金があれば、審査に通りやすくなるばかりか、金利が安くなる場合もありますね。そもそも低金利で鳴らす銀行は一般的には審査が厳しいと考えられるので、頭金と低金利はほぼセットと考えていいのかもしれません。
では世の中の人々が実際にどれくらいの頭金を貯めているのでしょうか?以前こちらの記事でもご紹介しておりますが、ファミリー層では年収別にこのようになっています。
>>><年収別>マイホームの値段、頭金、住宅ローン残高は?
・400万円未満 : 928万円
・400万円台 : 579万円
・500万円台 : 641万円
・600万円台 : 744万円
・700万円台 : 842万円
・800万円以上 : 1,074万円
・1,000万円以上 : 1,442万円
それぞれの物件価格はこうなっています。
・400万円未満 : 3,030万円
・400万円台 : 3,265万円
・500万円台 : 3,596万円
・600万円台 : 3,860万円
・700万円台 : 4,143万円
・800万円以上 : 4,408万円
・1,000万円以上 : 5,208万円
つまり頭金の割合としてはこのような計算となる、ということですね。
・400万円未満 : 31%
・400万円台 : 18%
・500万円台 : 18%
・600万円台 : 19%
・700万円台 : 20%
・800万円以上 : 24%
・1,000万円以上 : 28%
一般的なケースと思われる年収400万円〜600万円のゾーンでは見事にほぼ18%前後で並んでいるところが印象的ですね。つまりは年収と頭金の額、そして物件価格はキレイに比例している、ということになります。
もちろんこれは平均値ですので、実際には頭金がほとんど無い人も、あるいはほぼ頭金でまかなえる人もいるわけですが、少なくとも住宅ローンを貸す側=金融機関が期待する頭金の割合はこの値あたりにある可能性が高いですね。
不利な借り入れ条件としないためにも、やはりまずは平均的な頭金を貯めるよう努力したいものです。
このように頭金の貯金というのはマイホーム購入、そして住宅ローン借り入れの第一歩なわけですが、そうしたセオリーに反する商品を住宅金融支援機構がフラット35に追加しようとしています。
それがフラット35の100%ローンですね。何が100%かというと、物件価格の100%の住宅ローンということで、要するに頭金が不要の住宅ローンというわけです。
記者はもちろんこうした住宅ローンには懐疑的です。住宅ローンというのは延々、30年前後支払わないといけないものですので、借り入れにあたっては当然、それなりの覚悟が必要です。
そしてその覚悟の象徴が頭金なわけですね。逆に言えば頭金が準備できていない人はその覚悟ができていないともいえます。
「今まで家賃を払ってきたので住宅ローン返済も大丈夫」といった主張や、逆に「家賃を払っている間は頭金の貯金なんで無理」という主張があるかもしれませんが、一般的にマイホームを購入する顧客の多数派は、30〜40代の小さいお子さんがいるファミリー層で、この層は子どもが大きくなるにつれて出費がどんどん増えていくことが知られています。
つまり、比較的まだ出費が少ない段階で貯金できていないということは、今後、出費が増えてくるととたんに家計が破綻し、住宅ローン返済すら滞る可能性が十分あります。
そうなってくると金融機関だけでなく、住宅ローン利用者も困った事態となります。やはり準備ができていない人には「貸さぬも親切」だと思うのですがいかがでしょう?
こうした筋の悪さに加え、記者が問題に感じるのは上記記事の通り、この施策を実行するために46億円の税金が投下される点ですね!
フラット35は新規貸し出し全体の中で11%に留まるマイナー商品です。その販促のために血税が投入されるのは一体どうなのでしょうか・・・。やはり財務省と国土交通省が出先機関である住宅金融支援機構を守ろうとしているとしか思えませんね。
ただし。
記者自身はこれまで、こうした「100%」フラット35に対してデメリットというかネガティブな部分しか感じていなかったのですが、2月下旬となり、この「100%」フラット35への上乗せ金利が発表されて意識が変わってきました。
当然、こうした頭金のいらない100%住宅ローンというのは他の住宅ローンに比べて貸し倒れのリスクが高いわけで、金利が多少高くなるのは当然です。冒頭ご案内したように「頭金が多いほど住宅ローン金利が下がる」ということは裏返せば「頭金が少ないほど住宅ローン金利が上がる」というわけですからね。
では実際の上乗せ金額はいくらかと言うと・・・上記記事にもあるとおり「+0.4%」ということですね!結構な上乗せ幅です。
民間の住宅ローン金利が0.0X%のところでしのぎを削っている中では競争力を失うのに十分な上乗せ幅と言えそうです。もちろんそれだけ上乗せしても全体的には46億円の損失が出る、ということなのでしょうけれど。
そうしたわけで、結果的には金利が0.4%上昇するのを許容して、この「100%」フラット35住宅ローンを借りる人はまずいないのでしょうか?
だとすると皮肉なことに、この金利「+0.4%」というのは、頭金ゼロで住宅ローンを借りようとしている人にとって相応の抑止力になる、ということです。
数年我慢して頭金を貯めると金利が0.4%下がるのであれば、通常の経済観念をお持ちの方なら、まずは頭金を貯めようとしますよね?
「頭金不要」のフラット35住宅ローンは相当、筋の悪い施策だと思いましたが、頭金ゼロによる「信用リスク」を可視化した、という点では実は画期的なのかもしれませんね。
この上乗せ金利を見て1人でも多くの住宅ローン利用予定者の方が、やはり頭金を相応に貯めよう!と再認識されることを願っております。
多くの方にとっては釈迦に説法だとは思いますが、参考になさってください。