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<編集部からのコメント>
住宅ローンの金利競争が続き、ローン金利の低下が進んでいます。これには当然、ベースとなる市場金利の低下もあるわけですが、それと同時に各銀行が利ざやを圧縮しているのが要因ですね。
つまりは身銭を削って金利をディスカウントしてくれているわけで、住宅ローン利用者にとってはまことにありがたい状況です。
利用者としてはそれでいいわけですが、一方でよく指摘されているのが銀行側の赤字懸念です。金利を引下げすぎて実質的に赤字になっているのではないか、ということですね。
今のところ、各銀行の決算状況を見る限り、ビジネスとして赤字に陥っている様子は伺えませんが、仮に金利が上昇したり、新たな経済危機が訪れたり、そうでなくても住宅ローン競争が落ち着き、貸し出し金利が上昇傾向となれば収益の様相が一変する可能性はゼロではありません。
0.X%の金利をいくら集めても元本が戻ってこなければ、そうした収益を全て吹き飛ばす破壊力があるからですね。
それすら、住宅ローン利用者からすれば「預かり知らぬこと」と言えなくもありませんが、逆に直接的な影響があるとすれば、「審査の厳格化」懸念ですね。
利ざやが薄くなり、焦げ付きをカバーする余裕がなくなってくるのであれば、審査が厳しくなるのは当然予想されることと言えます。
では実際に銀行の住宅ローン審査は厳しくなっているのでしょうか?
それが分かる調査結果を住宅金融支援機構が発表していますのでご紹介したいと思います。これは民間住宅ローンを取り扱う309の金融機関の回答結果を集計したもので、調査時期は2013年9月〜10月となります。
まず「外部環境変化による本審査内容や基準の変化」はこのような回答となっています。
全体的にはこのような割合ですね。
・厳格になった、慎重になった : 22.8%
・ほぼ同じ、変わらない : 72.2%
・緩和した、見直し検討 : 5.0%
「ほぼ同じ、変わらない」と答えた金融機関が7割を超えているわけですが、一方で、「厳格になった、慎重になった」と答えた金融機関も2割を超えており、全般的には「多少厳しくなっている」とは言えそうです。
とはいえ、足元の金利競争からイメージされるほどの審査の厳格化は見受けられません。
特に昨今の住宅ローン金利競争をリードしているのはネット銀行とメガバンクということになりますが、ネット銀行はこの調査対象には入っていないようですので、残るメガバンクの回答結果を見るとこのようになっています。
・厳格になった、慎重になった : 0.0%
・ほぼ同じ、変わらない : 100.0%
・緩和した、見直し検討 : 0.0%
つまりこちらは、全く審査姿勢が変わっていないことを表しています。むしろ「ほぼ同じ、変わらない」の中の約3割は「ほぼ同じだが合理化等でスピードアップ」ということで、より積極的です。その点でも今は「借り時・借り換え時」と言えるのかもしれませんね。
ただしそれ以外の業態を見てみると、逆に審査の厳格化の兆候が見られますので注意が必要です。特に第二地方銀行、信用金庫、信用組合、モーゲージバンクはその傾向が相対的に強く表れています。銀行の体力が審査姿勢に影響しているのでしょうか。
今後は地域金融機関では審査に通らなかったけれど、メガバンクでは審査に通った、なんてことがあるかもしれません。
では具体的にどういった審査項目が重視されているかと言うとこうなります。
なぜ「最近、重要度が増している」のかはよく分かりませんが、「重要度が高い審査項目」と考えれば概ね、違和感のない並び順ではないかと思います。
ちなみに国土交通省の「民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」で公表された、最も多くの銀行で採用されている審査項目は以下コラムでご紹介していますので、ご興味がある方は参考になさってください。
>>>住宅ローン審査の9大基準 落ちた理由は?対策は?
そして最後に、よく当サイトの口コミでも話題に上る住宅ローン審査の所要日数ですがこのようになっています。
平均は3.3営業日ということで・・・思ったより早いですね!
「わずか3日でOKという返事をもらえた!」といったポジティブな口コミが散見されますが、業界平均からすれば実は「フツーのこと」なのかもしれませんね。
ただし平均値は確かに3.3営業日ですが、「1営業日」から「8営業日以上」まで結構、幅広く分散していることが分かります。このあたりはあまり「3.3営業日」を意識すると、思ったより待たされることがあるかもしれませんので注意が必要です。
加えて、あくまでこれは審査セクションが必要とする日数であり、窓口セクションが書類を揃えたり、稟議書を作成したり、上司にハンコを押してもらったり、実際に担保物件をチェックしにいく時間が含まれていないとすれば、前後でさらに1週間くらい時間がかかる、なんてこともあるかもしれません。
正確な実態は分かりませんが、書類不備もよくあるわけで、余裕を持って申し込むのが基本ですね。ご留意いただければと思います。
これから住宅ローンの審査を受けられる方は参考になさってください。