※当サイトには広告リンクが含まれています。
<編集部からのコメント>
政府与党では、消費税増税に伴う住宅の駆け込み需要や、増税後の急激な落ち込みを防ぐために、様々な政策・施策を検討していますが、その中でも最大のものが、住宅ローン減税拡充と住宅購入給付金の創設です。
この住宅購入給付金については「すまい給付金」という名前がついたようですが、2つの政策をおおまかに解説するとこういう内容となります。
1.住宅ローン減税拡充:
現状、上限2,000万円としている住宅ローン減税対象の住宅ローン残高を4,000万円に引き上げ。減税額は10年間で最大200万円から最大400万円に倍増。
>>>新しい住宅ローン減税、控除額は年最大40万円に決定!
2.すまい給付金:
住宅を購入した場合、年収に応じて最大50万円を給付。
>>>新しい「住宅ローン減税+給付金」の枠組みが固まる
つまり、住宅ローンを2,000万円以上借りる方には前者の「住宅ローン減税拡充」のメリットがあり、住宅ローン残高が2,000万円未満と想定されるような方には「すまい給付金」のメリットをつけることで、消費税増税によるインパクトを相殺しようということです。
意図はもちろんよく分かります。
そしてこうした制度を考えてくれることは、住宅購入者にとってみれば大変ありがたいのは間違いありません。
しかし・・・とにかくややこしいですね!
そもそも、消費税増税によるインパクトは、新築か中古か(中古物件には原則として消費税がかかりません)、建物価格がいくらか(土地には消費税がかかりません)によって変わってくるわけですが、そこに加え、
・借入予定の住宅ローンの金額はいくらか
・毎年支払っている税金はいくらか
・借入時の年収はいくらの見込みか
を把握しないと、結局のところ、消費税増税前に購入した方がよいのか、それとも増税後に購入した方がよいのか正確に計算することはできません。
つまりはケースバイケースということになりますが、とは言いつつ、やはりそうした「住宅ローン減税+すまい給付金」と「消費税増税」のどちらのインパクトが一般的には大きいのか知りたいものですね。
そんなわけで、当サイトも今まで何度かトライしてきましたが、上記でも紹介したこちらのコラムでは、年収400万円、500万円、700万円のケースでそれぞれ計算したところ、「増税前」と「消費税8%」を比較すると「増税前」がトクだったり「消費税8%」の時の方がトクだったりとケースによって損得が異なる一方で、「消費税10%」になるとさすがに損、というような結果となりました。
>>>新しい「住宅ローン減税+給付金」の枠組みが固まる
こうした試算が正しいかどうか、他の試算結果が出てくるのを期待していたわけですが、上記記事の通りみずほ総合研究所が試算した結果が掲載されていましたのでご紹介したいと思います。結論から言うとこういうことですね。
損得は上記表の「最終的な税負担」の欄をご覧いただければと思いますが、さすがに下段の消費税10%の時はほとんどがプラス、つまり税金が増えてしまいますが(それでも年収800万円の場合はマイナスです)、上段の消費税8%の時は結構、マイナスですね。
というか年収500万円の場合以外は全てマイナスとなっています。つまりこの計算上は、
・「増税前」でも、「消費税10%」の時でもなく、「消費税8%」の時が一番おトク
であることが示唆されている、ということですね。
こうした試算結果を見て、驚く方が多いかもしれませんね!
というのも、今、住宅が買い時だと思われている方の多くは「消費税が増税するから」という理由からそう判断しているわけであって、実は増税後の消費税8%の方がトクだ、と言われると何だか騙されたような気分となるかもしれません。
ちなみにもちろん、繰り返しになりますが、あくまでこれはケースバイケースですので、上記の通りさまざまな要素によって損得は変わってきます。気になる方は電卓を片手にいろいろなケースで試算してみてはいかがでしょうか。
なお、このみずほ総研の試算の場合、以下のようなケースを想定しています。
・住宅価格は年収の7倍
・自己資金は12%
・住宅ローンは年収の5.8年分
・土地代は住宅価格の約36%(=64%が建物代)
ちょっと住宅価格に占める建物代の割合(64%)が高いかな?という感じはしなくはないですが、それ以外は概ね「そんなものかな」と思える値となっています。もちろん、各種資料から平均的な住宅購入条件を算出したということですから間違いはないのでしょう。
参考になさってください。
ただし。
ここで注目すべきなのは、いつが損かトクか、というよりもそうした税金の差は−78万円〜36万円まで、最大でも100万円程度の差しかない、ということかもしれません。
マイナスの場合は減税メリットが多いわけですからいいとして、最大値となる+36万円の場合の住宅価格は3,500万円です。つまりこの試算上の増税インパクトは最大でも建物価格の1%程度だ、ということです。
正直、誤差の範囲内ですよね・・・。
そうした1%のコストアップに気を取られるくらいなら、より割安な業者・物件を見つけたほうがはるかにおトクになるでしょうし、内装をどうするかで簡単に吹き飛ぶレベルでもあります。
そもそも、それくらいの差しかないのであれば、「増税を全く気にせずに、じっくり物件選びをする」というのも手ですね。記者としては間違いなく、これをオススメします。
もしかすると増税後には住宅需要が落ち込み、増税インパクト以上に住宅価格が低下するかもしれませんしね。
加えて、焦って購入して後悔するのも馬鹿馬鹿しいですし、どうしても気に入らず、万が一住み替えとなれば、増税額の数十倍の追加コストがかかってしまいます。
消費税増税による影響は、実際には「住宅ローン減税拡充」と「すまい給付金」により、誤差の範囲のレベルまで軽減される可能性が高いことをお含みおきいただき、焦らず、じっくり、最高のマイホームを探していただければと思います。
消費税増税に不安を感じている方は頭の片隅に入れておいていただければ幸いです。