※当サイトには広告リンクが含まれています。
<編集部からのコメント>
最近、住宅ローンが借りづらくなっている、というこの話題。上記記事では例として、30代で年収400万円の中堅メーカー正社員Yさんが、頭金500万円を用意して2,000万円の住宅ローンを組もうとしたところ、審査に通らなかったと紹介されています。
パっと聞いた感じではいかにも審査に通りやすそうな、ごくごく一般的な住宅ローン利用者像と重なりますが、ダメだったとは意外ですね。記事では「転職を繰り返してきた職歴がマイナス材料になったようだ」とのことですが本当でしょうか?転職理由にもよるのでしょうけれど、今でも正社員だということは再就職する力があるということで一概に信用力が低いとは言えない気がします。
単純に勤続年数が足らなかったとかそういうことではないのですかね?
その真偽は分かりませんが、上記記事では専門家による「派遣社員の方などには厳しくなったかもしれません」、「借り手の信用調査を従来より慎重にしているようです」と銀行側の審査姿勢の微妙な変化を指摘する声が引用されています。
これだといかにも週刊誌的な、根拠の薄い憶測記事のように響かなくもないですが、そうした審査の厳正化の流れは間違いなくあるのでしょうね。
背景としては上記記事でも指摘されているように住宅ローンの「安売り競争」ですね。銀行の住宅ローンの平均金利は1.8%。人件費や資金調達コストなどを除いた利ざやは0.5%〜0.6%ということですから、まさに薄利多売です。
加えてこの利ざやは、住宅ローンの借り手が全員、返済してくれて初めて確保できるのであって、仮に0.5%=200人に1人が返済できなくなり、住宅を処分しても返済しきれなかったりすればすぐに吹き飛んでしまうギリギリの水準とも言えます。
さらに平均金利が1.8%の場合の利ざやが0.5%〜0.6%ということは、今のように変動金利タイプが隆盛で、主流が1%前後の水準になっている現状では、資金調達コストがほぼ0とは言え、利ざやがさらに少ないのは間違いありません。
とすると・・・審査が厳しくなるのは当然と言えるのかもしれませんね。
実際、記事内では、三菱UFJ銀行氏が「銀行は住宅ローンを伸ばそうとして金利を下げてきましたが、その過程で借り手を厳しく見始め、結果として利用者が借りづらくなっているのかもしれません」とコメントしています。
銀行サイドの方の発言ですので、恐らくこれは正しいのではないかと思いますが、これはつまり「金利が低い銀行=人気の銀行ほど審査が厳しい」と言えそうです。
加えて以前ご紹介したように、金融庁が昨今の住宅ローン競争に問題意識を持っていて、審査が甘い銀行や、金利が低すぎる銀行がないか調査に乗り出す方針である、というのも伝えられております。そうした外圧も含め、銀行側に審査を厳しくする状況が整っているということですね。
では住宅ローン利用者として対応方法はあるのでしょうか?
仮に金利の低さが審査の厳しさを反映しているのだとすれば、金利の低い銀行からどんどん申し込みを続けていくことでしょうね。仮に最も金利の低い銀行の審査に落ちても、2〜3番目、4〜5番目の銀行ではOKが出ることもあると思います。
あるいは金額を減らされたり、金利を少し高めに設定された、条件つきのOKが出ることもあるかもしれませんね。いずれにせよこれからは「人気銀行から審査に落とされるのが当たり前」の時代になってくるかもしれませんね。
ちなみに上記記事では「銀行の低金利競争にも歯止めがかかるでしょう」と締めくくられておりますが、いかがでしょうか?記者は全く逆の考え方ですね。カジュアルウェアしかり、液晶テレビしかりですが、縮小する市場の常として、価格競争はますます激しくなるのが通例です。
住宅ローンもそれに倣うとすれば、低金利競争は今後ますます激しくなるのではないでしょうか?
もちろんそれは利用者にとってはありがたいことですが、その裏返しとして、繰り返しになりますが、審査が厳しくなる傾向にあることは留意しておいた方が良さそうです。